教育とICT活用事例 CASE STUDIES

語学教育の先進校がCALLシステムを導入

高校・大学
CaLaBo EX 2008年12月22日

発音とリスニング力を磨いて
ワンランク上の力をつける授業にチャレンジ

高校での先進的な英語教育といえば、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(以下SELHi。応募の上、文部科学省の指定を受け、英語教育に関する研究開発を行う学校のこと。指定期間は3年間)を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。

神奈川県立横浜国際高校は、前身の県立外語短期大学付属高校の頃からSELHiの指定を受けている語学教育の名門校。2008年度からはフルデジタルCALLシステム『CaLabo EX』を2教室に導入し、教育環境はますます充実している。

今回は、2008年4月からCALLを活用されている同校英語科・浅倉健志先生の授業を拝見し、お話を伺った。

神奈川県立横浜国際高等学校
神奈川県立横浜国際高等学校

 「神奈川県立横浜国際高等学校」は、2008年4月、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールの指定校・外語短期大学付属高校と、ICT利活用教育重点推進校・六ツ川高校が統合して開校された。国際情報科の単位制総合高校として、それぞれの学校で培ってきた先進の語学教育・情報教育の取組みを継承するとともに、「情報リテラシーを活用した国際の授業」など両分野を融合した教育を展開。学力向上進学重点校にも指定されている。
神奈川県立横浜国際高等学校
〒232-0066 神奈川県横浜市南区六ツ川1-731

http://www.yokohamakokusai-h.pen-kanagawa.ed.jp/

全員での発声練習で発音のレベルとクラスの学習ムードが高まる

▲教室の中央の机に集まり、全員で発声練習。英語の正しい発音と日本のカタカナ英語の発音の違いを理解する。

取材当日は、国際コミュニケーション系の選択科目『コンピュータ・LL演習』の授業が行われていた。同校は、2008年4月、県内2校の統合によって単位制の総合高校へと生まれ変わり、同科目を含む100以上もの選択科目を設置した(2年生以上は統合前のコース制を継続しているため、選択科目の受講者は現1年生)。
「いつもの始めるよ」
浅倉先生の号令で、受講者の11名がさっと教室の中央に集まった。『Review』と題した浅倉先生手作りの単語プリントが配られると、指名された一人の生徒が単語を読み上げ、他の生徒が後に続く。これは、授業の導入時にこれまでの授業の復習を兼ねて毎回行っている発音練習だという。

“bus.”→”bus!” ”bath.”→”bath!”
“play.”→”play!” ”pray.”→”pray!”
“berry.”→”berry!” ”very.”→ “very!”
“work.”→”work!” ”walk.”→”walk!”

生徒達は、”s”と”th”、”l”と”r”など紛らわしい発音の違いを意識しながら、それぞれの単語の適切な発音と、その音の違いを聞き分けるリスニング力を鍛えていく。
目的はそれだけではない。全員で輪になって発音練習を行うことでクラスの雰囲気を高めるとともに、授業の次の展開であるシャドーイングのウォーミングアップにもなっているのだ。

当日の授業内容

指導時間 学習活動
導入 発音練習(これまでの復習)
展開 e-Learning教材でシャドーイングの個別学習
ワークシートのブランクを埋めるリスニング学習
まとめ 音のつながりを理解し、習得できたかを確認

段階に応じたシャドーイングで着実なステップアップを図る

▲ムービーテレコの画面サイズを調整して教材の英文を全て表示。シャドーイングに慣れるまでは目で確かめながら練習する。

同校が『CaLabo EX』を導入してから約8カ月。これまで週2回の授業で活用してきた浅倉先生は、その効果を実感していた。
「普通教室の授業でも生徒にいろいろな活動をさせているのですが、やはりどうしても教員が中心になって話すことが多くなってしまいます。CALLを使うことによって、生徒に自主的に学習させることができるのです」
CALLならではのアクティビティとして浅倉先生が使っているのが、動画/音声学習ツール・ムービーテレコ(*1)対応教材『英文リスニング・トレーニング初級』。高校1年生でもシャドーイングやディクテーションに取り組みやすい初心者向けのe-Learning教材だ。
発声練習を終え、浅倉先生から「パソコンのほうに移るように」という指示が飛ぶと、生徒達がさらにワッと活気づいた。
「先生、今日のシャドーイングは(教材のUnitの)何番?」

「8番。今から10分間ね」
浅倉先生が『CaLabo EX』で生徒PCのムービーテレコを一斉に起動すると、生徒達は手慣れた様子でヘッドセットを付け始めた。浅倉先生曰く、入学当初はシャドーイングで声を出すことに照れていたという生徒達だが、今ではすっかり堂々としたものだ。準備が整った生徒から、自発的にシャドーイングをスタートさせていった。
全員のムービーテレコには、今日の課題『Unit8:The Old Melbourne Gaol(旧メルボルン刑務所。オーストラリアの観光名所のひとつ)』が表示されている。通常は、シャドーイングの波形が映る音声部分を大きめに表示するが、浅倉先生は、教材のシャドーイング問題が全文読める状態に調整させていた。それは、シャドーイングの経験の浅い高校1年生への配慮ゆえだ。
「いきなり完全なシャドーイングをさせるのは難しいので、いまは英文を表示した状態で練習させています。上達してきたら、徐々に英文の表示を少なくして、ステップアップを図る予定です。毎回10分間集中して練習させていますが、それだけでは身に付かないので、最後に録音して提出させています」
浅倉先生による成長を見据えた指導と毎時の習得度チェックによって、生徒達は着実に英語を自分のものにしていっている。

(*1)ムービーテレコ
『CaLabo EX』に付属している動画/音声学習ツール。先生PCの操作によって生徒PCで一斉にシャドーイング学習をさせたり、先生PCで取り込んだ映像・音声教材を生徒PCに転送してディクテーションをさせたりするなど、多様な英語学習が可能。

 

教室の開放により生徒の自主学習の意欲がさらに向上

▲先生PCの操作でCDの音声を生徒に一斉配信。単語や英文のディクテーションをしていく。

最後のアクティビティとして行われたのは、CDの音声教材を利用したリスニング学習。浅倉先生は『CaLabo EX』の「聞かせる」ボタンで、生徒PCにCDの音声を一斉に配信した。
耳を澄ませた生徒達の顔つきは真剣そのもの。ディクテーションですらすらと英文や単語を書き取ったその英語力は、高校1年生にしては相当なものだ。
同校は、神奈川県内に10校しかない「外国語(英語)の独自問題実施校」のうちの1校であり、その入学試験をクリアしてきた生徒達の語学学習への意欲は高い。
生徒達は、授業以外の時間にもCALL教室を利用しているのだという。
「夏休みにCALL教室を開放したのですが、(ムービーテレコ対応教材の)『新TOEIC(R)テスト リスニング・トレーニング』を使って自分達でどんどん学習していました。それ以来、放課後も開放しています」
また、同校では、今回取材した科目『コンピュータ・LL演習』以外にも、映画で英語を学ぶ『イングリッシュ・スルー・ムービーズ』や、社会科『国際理解』の授業でもCALL教室を使用しているという。多種多様に活用されていることで、同校の生徒達がCALLに親しむ機会が増え、「自主学習しよう」という雰囲気がますます育っているのではないだろうか。

  • 英語科

    浅倉健志先生

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