教育とICT活用事例 CASE STUDIES

「もれなく違う種類の三角形を見つけよう」

小・中学校
フラッシュ基礎 2009年01月15日
東京学芸大学付属世田谷小学校
東京学芸大学付属世田谷小学校

CTと木の教具を活用して論理的思考を育てる

残暑が続く、9月も終わりかけたある日、世田谷区にある東京学芸大学付属世田谷小学校にお邪魔した。算数の授業でフラッシュ算数(旧InteractiveResources)をずっと使ってくださっていて、その様子を伺うためだ。

手作りの木の教具。図工の時間を 利用して作ったとのこと。

3年生を担任している大熊雅士先生のもとには、4名の教育実習生が来ており、実習の真っ最中だった。聞けば、その実習生もフラッシュ算数を使って実習を行っているという。「いまはちょうど三角形の単元に取り組んでいるが、とても便利だ」と実習生からも評判とのこと。

実習生に話を聞いてみると、フラッシュ算数の教材からヒントを得て、大熊先生も絶賛のすごい教具を発明したとか。大興奮の彼らが見せてくれたのは、クギを16本打ちつけてある木の板。輪ゴムをひっかけて、三角形や四角形を作れるようになっている。手のひらサイズのその教具を、チエルスタッフも借りて輪ゴムをひっかけて試してみたが、これはおもしろい。シンプルだが、自分であれこれと試行錯誤しながら三角形を探す活動にはぴったりの教具だ。図工の時間に作り、子どもたちはみんな持っているとのこと。

聞けば、来週ちょうど実習生がフラッシュ算数と、この教具を使って授業を行うと言う。チエルスタッフが「ぜひ参観させていただきたい!」と申し出たところ、快くOKをいただけた。

ICTと、ひとりひとつの木の教具を効果的に活用

そして、翌週。

子どもたちは輪ゴムをかけていろんな三角形を探し出していく。

1時間目の授業。まずは15分間、ひとりひとりで「漏れなく、違う種類の三角形」を探すよう実習生の古川先生から指示が飛ぶ。子どもたちは、例の教具を使い、クギにいろいろと輪ゴムをかけて試しながら、違う三角形をひとつひとつ見つけ出していく。見つけた三角形は、ワークシートに書き込む。
15分経ったところで、今度は班を作る。班のメンバーと話し合って、その数がいくつになるか答えを決めるのだ。さらに15分が子どもたちに与えられた。子どもたちは、ワークシートの三角形をはさみで切って仲間分けをしたり、木の教具を使って本当に同じなのかを確かめたりしながら、話し合いを進めていく。大熊先生の「あと2分!」という声が飛んだ。しかしながら、子どもたちはなかなか答えを見つけ出せない。

ワークシートをもとに、班で 話し合いを続ける。

約束の15分が経った。答えを出せた班はひとつもなかった。大熊先生は、時間を守れなかった子どもたちに「気合が足りない!」と厳しく指導する。そして、「今から5分間の休み時間。自分たちで自由に使いなさい。ただし、時間になったら発表してもらう。いいね?」と付け加えた。その言葉を聞いた子どもたちは、すぐさまグループでの話し合いを始めた。休み時間、休む子はひとりもいなかった。

 

5分が経った。子どもたちは、なかなか答えを見つけ出せない。大熊先生は、子どもたちにさらに5分を与えた。子どもたちは、班で役割分担をしながら、懸命に三角形を数えた。

そして、いよいよ時間となった。今度は、実習生の後藤先生が、「いくつになった?」と子どもたちに聞く。1班から順に数字を答えていくと、34、24、27…。どの班も答えは違う。「じゃあ確かめていってみようか」と、後藤先生はフラッシュ算数『三角形をつくろう』の画面を見せる。「『2つを固定させてシュシュシュ』がポイントだよ」と言いながら、三角形の2つの点を固定させ、残りの点を動かしながらひとつひとつ数えていく方法を示した。最初は「2つを固定させる」ことの意味がよくわからなかった子どもたちも、フラッシュ算数で三角形が次々見つかっていく様子を見ているうちに、考え方がわかってきたようだった。

 

答え合わせの時間。フラッシュ算数をスクリーンに映して、全員で確認する。

「一番下の2つを固定させたものは、これで全部見つかったよ。どうしてかわかる人?」先生が尋ねる。子どもたちは、まだ自信がないようだ。「もう1回最初から見せるよ。ひとつめはこれだよね。ふたつめはこれ…」と後藤先生はフラッシュ算数を使ってもう一度順に三角形を示していく。頂点がひとつずつずれていく様子を見た子どもたちは、ぴんと来たようだった。9つ全部示したところで、後藤先生は再び「分かる人?」と尋ねた。何人かが手を挙げた。指名された子の説明はこうだ。「まずこの縦の列に1、2、3個あって、次に隣の列に1、2、3個あるけれど、さっきのと反対になっているだけなので、その隣の列で1、2、3個、最後の列で1、2、3個」そう言いながらフラッシュ算数を使って説明をした。「あー!」「わかった。」子どもたちから口々に声があがる。こうして、子どもたちは別の2点を固定した三角形も難なく探していくことができた。発表してくれた子の見事な説明には、チエルスタッフも驚き。フラッシュ算数は、先生や子どもたちの説明を違和感なくバックアップしていたし、学びあい、教えあいがクラスの中に当たり前に存在していた。

 

木の教具のよさ、ICTのよさの相乗効果

授業の後、実習生のみなさんに伺うと、今日の授業のねらいを、次のように答えてくれた。「まず、この木の教具を使っていろんな三角形を作ってもらって、その後、違う三角形を作るにはどうしたらいいのかを子どもたちに論理的に考えさせたかったんです。体験的にわかってもらうことを目的としました」適当に三角形を作っていても、きっと全部は見つけられない。そういう時に、この木の教具が役に立つのだという。

ではなぜこの教具を作ろうと思ったのか?
「最初に、この教室にどんな三角形があるか探してもらおうと思ったんですが、なかなか三角形が見つからず、そんなときに大熊先生がフラッシュ算数『三角形をつくろう』を紹介してくれて。それを見て、一人ひとりの手元にこういうのがあったらいいなと思ったんです」
たくさんのひらめきと工夫が詰め込まれたこの木の教具。木の大きさも、普段持ち歩いている手のひらサイズのノートの大きさにヒントを得たり、クギの太さも手ごろなものを探し出したという。
「もし木の教具がなかったら、論理的思考にはつながらなかったし、実際にやってみて初めて気づく発見がなかったと思います」と。
ICTだけだったら一方的に見るだけで体験できなかっただろうし、木の教具だけだったらみんなと共有できなかった。両方があってこそ今日の授業が成り立ったということだ。

最後に大熊先生からもコメントをいただいた。

 

教育実習生と大熊先生。 木の教具もしっかりもって 記念写真。

「今日の内容は、黒板ではまずできないことだった。1個目、2個目、3個目と見せていくためには三角形を全部書かなくちゃいけなかった。子どもたちが木の教具にゴムをかけるのと同じように画面に表せた。子どもの思考過程と先生の示すことが同じだったというのはとてもわかりやすかった。子どもたちも、この教材がなかったら説明できなかったと思う。他の子どもたちが『おおー!わかった!』と言ったときのあの瞬間はすごかった。」

今日の授業は、実習生はもちろん、大熊先生にとっても、子どもたちが「わかる」瞬間のすばらしさを実感することができる時間だったようだ。また、この授業は、ICTだけで授業が成り立つわけではないことも証明してくれたように思う。未来の4人の先生たちの、これからの活躍も楽しみだ。

 

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