株式会社LTE-X、チエル株式会社、ラインズ株式会社、安全な通信環境で「タブレットPCの持ち帰りによる家庭学習」を可能とするための実証研究プロジェクトを実施
実証研究により、タブレットPCの持ち帰りによる
家庭学習の推進や学習サイトの利用を促進し、
さらに、不登校児に対する家庭学習の推進の可能性も期待
株式会社LTE-X(本社:東京都品川区、代表取締役CEO:池田 武弘、以下、LTE-X)及びチエル株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:川居 睦、以下、チエル)、ラインズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:山口 洋、以下、ラインズ)の3社は、青森県八戸市教育委員会の協力の下、青森県八戸市立白山台中学校の生徒を対象に、安全な通信環境でのタブレットPCの持ち帰りによる家庭学習を実現するための実証研究を実施したことを発表しました。
実証研究実施の背景
昨今、学校教育におけるICT活用が重要課題の一つとされています。文部科学省「学びのイノベーション事業 実証研究報告書」では、学習場面に応じたICT活用事例の一つとして、「タブレットPC等の持ち帰りによる家庭学習」が挙げられており、動画やデジタル教材などを用いた授業の予習・復習を行うことで、生徒個人の理解度に応じた学習が可能になるとされています。
一方、各教育現場では、学校端末を生徒が学校から持ち帰り、意図しないネットワークにつながることで、生徒の個人情報等の漏洩リスクがあることから、学校端末を持ち帰り家庭での学習に使用することに消極的な学校も多い状況でした。
実証研究の概要
対象生徒・期間
青森県八戸市立白山台中学校の3年生を対象として、冬休み期間中(2018年12月22日~2019年1月14日)の24日間、実施いたしました。実施期間を二回(2018年12月22日~2019年1月3日、および2019年1月7日~1月14日)に分け、希望者を募るという方式をとったことで、公正な学習環境提供を可能としました。
使用端末数と教材
中学校に整備されているタブレットPC40台の持ち帰りによる家庭学習を実施しました。家庭学習での教材としてラインズのeライブラリ アドバンスを使用しました。本タブレットPCには、LTE-X社が保有するソフトウェアを事前にインストールすることで、以下の環境を実現しました。
<ご参考:タブレットPCを使用した安全な学習環境について>
【生徒が学習に集中できる仕組み】
生徒が学習サイトでの学習に集中できるように通信制御を実施(どのネットワークにつないでも、デジタル教材の学習サイトのみに接続するように通信を制限)
【自動的にセキュリティ確保】
学校管理下以外のネットワークにおいても学習内容や学習ログを見られないようなセキュリティを確保(自宅のWi-Fiや公衆無線LAN環境でもセキュリティ確保)
自宅のWi-Fi環境含め様々なネットワークで自動的にセキュリティ確保がされ、デジタル教材の学習サイトにのみつながるような環境を作りました。
<接続イメージ>
実証研究の成果
持ち帰り学習の推進
自宅等での学習を様々な曜日・時間帯で実施しました。
24日間の実証研究中に、計21,105回の学習サイトへのアクセスがあり、家庭での学習が積極的に利用されていたことが確認できました。
冬休み期間前半の第1フェーズ(2018年12月22日~2019年1月3日)では、日中に比べ、夜遅くの利用が多く見られました。
一方、第2フェーズ(2019年1月7日~1月14日)は、中学校での学習会が実施されていることもあり、学習会終了後の帰宅時間に合わせた利用が多くなっており、家庭での学習時間が生活時間に合わせて変化していることがわかりました。
学習時の安全性確保
本実証研究期間中、検索サービスを中心とした学習サイト以外へのアクセス要求が計525回ありました。本実証研究においては、アクセス可能なサイトをデジタル教材の学習サイトのみとしているため、学習サイト以外でのインターネット利用や情報漏洩は0件であり、生徒の学習に際してのセキュリティは確保できたと考えております。
各組織体の概要及び実証研究における役割
株式会社LTE-X
株式会社 LTE-X(本社:東京都品川区 代表取締役 CEO:池田 武弘)は、株式会社ワイヤレスゲート(東証一部、証券コード:9419)の連結グループ会社で、プライベートセキュアネットワーク事業を通じて法人向けに産業用のIoT 通信におけるセキュアかつ低コスト・大容量の仮想的ネットワークを提供しています。詳しくは、https://www.lte-x.co.jp/ をご覧ください。
なお、本実証研究では、持ち帰り学習環境において、自宅や公衆WiFi等あらゆるネットワーク環境下でもLTE相当のセキュリティとアクセス制御が可能となるソフトウェア(エージェント)の提供を行いました。
チエル株式会社
「子供たちの未来のために、世界中の先生の授業を ICT で支える」を企業理念に掲げて2006 年 10 月に設立。シェア NO.1 のフルデジタル CALL システム『CaLabo EX』をはじめ、タブレットPC対応授業支援システム、延べユーザー数が300 万人を超えるクラウド型教材配信サービス『CHIeru.net』などの開発・制作を手がける、学校教育市場に特化した ICT 専業メーカーです。本実証研究では、ラインズ社とLTE-X社の設備をつなぐ役割及びアクセス制御を行いました。
チエル社では、本実証研究での成果をもとに、LTE-X社の通信技術を活用したセキュアな家庭学習環境を提供するサービスを今後展開してまいります。
ラインズ株式会社
ラインズ株式会社は、デジタル学習システムを軸とした教材ライブラリ「ラインズeライブラリアドバンス」を全国の公立小中学校5,500校以上に提供しております。
また、このシステムの開発とサービス提供で培われたノウハウを活かして、高校、大学、学習塾にも対応した学習サービスを提供しており、教育の現場における、先生のご指導、子どもたちの学びをサポートし続けております。本実証事業では、デジタル学習教材およびプリント教材の提供協力をいたしました。
八戸市立白山台中学校
八戸市立白山台中学校は、平成19年度に開校した、八戸市で最も新しい市立中学校です。学区は八戸ニュータウンを擁する白山台地区および南田面木地区です。平成31年度学校経営構想の校内研究主題として「ICTの効果的活用と、学びを深める実践」を掲げ、グローバルな社会を生きるための「学ぶ力」の育成に取り組んでおります。本研究は校内研究主題の一環として実施したものであります。
当校は、本実証研究の主体者として、企画の遂行、保護者・対象となる生徒への説明を実施いたしました。
今後について
持ち帰り学習による学習機会の拡大検討
今回の実証研究の結果、家庭の通信環境でも安全に学習出来るしくみを整備することで、学校で整備されたタブレットPCが家庭学習においても十分に活用できることが分かりました。学習の目的・課題を明確にすることで、長期休み期間中のみでなく、授業期間中においても家庭学習での利用を促進できると考えられます。
不登校児への家庭学習推進へ拡大の可能性
今回の試みを活用する新たな形として、不登校生徒の自宅における学習環境の提供も考えられます。学習サイトでは教員により各生徒の利用状況や学習進度を把握できるため、これらの情報を活用し学習する意欲や成果を適切に評価することで、学校への復帰や社会的自立の支援につながることが期待できます。
以上