Case Studies

「教科書に対応した」フラッシュ型教材なので、授業の進行に合わせて「毎時」使える!

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練馬区の研究指定校として、授業でのICT活用に取り組んでいた区立中村西小学校。
全教室に電子黒板やプロジェクタなどの大型提示装置が常設され、実物投影機や教員用PCも完備。
そんなICT環境の中で、フラッシュ型教材を使い始めたと聞いて、その授業のようすを拝見しにお伺いした。

国語の時間の導入でフラッシュ型教材を活用

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 「実は私、フラッシュ型教材の初心者なんです。9月になってから授業で使い始めて、今日でまだ3日目。いい授業をお見せできるかどうか……」
と取材前に不安をのぞかせていた曾我泉先生だが、拝見した授業はフラッシュ初心者とは思えぬ素晴らしいものだった。
「今日は漢字の練習から始めます」曾我先生の指示に子どもたちは姿勢を正し、日直の子どもが「漢字の練習をします。用意はいいですか?」と号令をかけた。昼休み明けの5時間目という気がゆるみがちな時間帯だが、一瞬にして教室の空気が引き締まった。
今回使用されるのは、この夏にリリースされたばかりの『小学校のフラッシュ くりかえし漢字ドリル(光村図書版)』。国語の教科書で出てくる新出漢字の順番に合わせて構成されているのが特徴だ。
「さあ、始めるよ」曽我先生の号令のもと、まずは漢字の読みを全員で読み始めた。「見出しが付く」などと1問ずつ「読み」を答えるごとに、隣の友だちと笑顔でハイタッチを交わす。
「このクラスに合っていると思い、ハイタッチを取り入れました。とにかく盛り上がるし、漢字が苦手な子どもも疎外感を感じることなく、みんなといっしょに楽しんでもらうのがねらいです」(曾我先生)
出題される「読み」の問題を次々正解する子どもたちを見て、曾我先生は「じゃあ、問題をバラバラ(ランダム)に出すよ。できるかな?」と声をかけた。
「少し難しくするよ、と声をかけると、子どもの集中力が高まるのを感じます。机間指導をしながら様子を観察し、ランダム出題にしたり、出題のペースを上げたりして難易度を少しずつアップしていくと、子どもたちの目が輝き、身を乗り出してくるのがわかります」と曾我先生もうれしそう。

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 そして、1問答えるたびに、「すごい!」「いいね!」「すばらしい!」と絶賛の合いの手を入れていく。さらに、回答を重ねるごとに声がどんどん一つにそろい、クラスのムードが高揚していくのが端で見ていてもよくわかった。
次は、指名された列が一人ずつ順番に「読み」を答える活動へ。曾我先生は、漢字の読みが苦手な子がいる列を当てた。同じ問題に取り組み始めて今日で三日目。初日は口ごもっていた子も、今日はしっかりと正しく答えることができた。みんなといっしょに、いい雰囲気でフラッシュ型教材に取り組み続けたことで、学びがしっかりと定着したのだ。
最後に行われたのは、一風変わった活動。フラッシュ型教材で問題を出題し、紙のワークシートに漢字を書き取らせるのだ。フラッシュ型教材と紙の教材の融合は、珍しい光景だ。
「子どもの反応を見ていて、この方法がよいと判断しました。フラッシュ型教材で、まず『漢字の読み』を大きな声で答えさせることで、気持ちを盛り上げ、集中力を高める。その上で、紙のワークシートで『漢字の書き取り』をすることで、知識がより定着すると感じています」と曾我先生。
これで、授業の「導入」は終了。わずか10分の活動だが、息つく暇もないような中身の濃い時間だった。しかし子どもたちは慌てることなく、余裕すら感じさせる笑顔で取り組んでいたのが深く印象に残った。曾我先生が子どもの状況をしっかり観察し、最適の活動とペースを選択しているからこそ、子どもたちは慣れ、しっかりと学べているのだろう。

「知識」の定着だけでなく、「活用」にも効果あり!

 「『小学校のフラッシュ くりかえし漢字ドリル』は、教科書や冊子のドリルと対応しているのがいいですね。授業の進み具合とペースを合わせて、毎時間取り組みやすい。このまま続ければ、子どもたちの力はどんどん伸びるだろうと感じています」と、曾我先生は、三日目にして、確かな手ごたえを実感したようだ。
学びの定着だけでなく、フラッシュ型教材の効果はほかにも広がっている。
「このクラスでは話し合い活動の場面をたくさん設けるようにしているのですが、フラッシュ型教材で、みんなで元気に声を出すことでクラスのムードがよくなり、話し合い活動にもいい影響を及ぼしています」と話してくれた。
福田純子校長先生も、次のように指摘している。
「私はICT初心者で、昨年本校に赴任してから初めてICTに本格的に触れるようになったのですが、フラッシュ型教材のようなICTを利用した教材は、『知識』をしっかり身に付ける場面ではとても有効だけど、話し合い活動のような『活用』の場面には不向きだと思っていました。でも、教室でのやりとりを見ていて、『活用』にもいい影響を及ぼしていると感じています」と。
さらに、「『知識』の定着をICTを使って効率化することで、節約できた時間を『活用』に回すことができますし、『活用』に不可欠な『知識』も、しっかり身に付きます。さらに、脳を活性化する効果もあるのではないでしょうか」と話してくれた。

高い授業力と指導力があればICTはすぐに使いこなせる!

 今回の取材で強く感じたのは、「授業力が高い先生は、ICTをすぐに適切に使いこなせる」という事実だ。フラッシュ型教材の“初心者”である曾我先生は、短期間でフラッシュ型教材の特長を理解して子どもたちの実態に合わせた活用を工夫し、学力の定着に結び付けている。まるで何年もフラッシュ型教材を使ってきたベテランのようなことができるのも、元々高い指導力や授業を作る力があるから “ツボ”をおさえた活用ができるのだ。今後は、算数や外国語活動でもフラッシュ型教材を使ってみたいとのこと。成果を上げること、間違いなし! これからも楽しみである。

高度で難解なICT活用ではなく、簡単でシンプルな活用を心掛けています。

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福田 純子 校長

本校では授業でのICT活用に積極的に取り組んでいますが、すべての先生にICTを日常的に使ってもらうために一番大事なのは、「ICTって便利だな! 楽しいな!」と先生に感じてもらうことだと思っています。
そのために、本校ではICTを教室に常設。機器を運んだり接続する必要がなく、黒板やチョークと同じ感覚で使えるようにしました。
また高度で難解なICT活用ではなく、簡単でシンプルな活用を心掛けています。研究主任の曾我先生には、「(ICT初心者の)私でもわかる活用にしてね!」といつもお願いしています。
先生同士が教え合える環境作りとムード作りも大事です。ICTについていつでも気軽に質問できて助けてくれる担当の先生を配置。校内研等でICT活用事例の発表があるときは、私が率先して「もっとわかりやすく使い方を教えて」などと質問し、“質問したいけど恥ずかしくてできない”先生方の気持ちを代弁しています。
そのおかげで本校では、ICTを共通の話題にして、教師間の情報交換やアドバイスが活性化しています。ベテランは授業の技術を若手に教え、若手はベテランにICT機器の使い方を教える。互いに教え合い学び合う、いいムードになっています。

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