Case Studies

「英語は嫌い」「自信がない」生徒の興味を引き出し、発信力を磨きたい

連載 東京都立五日市高等学校とCaLabo®MXの可能性①

―東京都―
東京都立五日市高等学校

東京都立五日市高等学校は、大学主催・新聞社協力のプレゼンテーションコンテストで最優秀賞を獲得するなど英語教育に力を入れている。同校はプレゼンテーションなど発信力に一層磨きをかけるため、2022年度に語学4技能学習支援システムのCaLabo®MXをプレ導入した。英語教育とCaLabo®MXが引き出す可能性を3回に分けて紹介する連載企画。第1回は、同校の英語教育を取り巻く環境と、CaLabo®MX導入の契機となった“小さな事件”を紹介する。

「英語は嫌い」「自信がない」生徒の興味を引き出し、発信力を磨きたい
東京都立五日市高等学校

東京都立五日市高等学校
〒190-0164
東京都あきる野市五日市894番地

創立75年。教育ビジョンに「地域貢献」「能力伸長」「人格形成」「未来創造」を掲げ、広い視野を持ちながら新しい社会に対応できる生徒、地域を愛し地域から愛される生徒の育成を目指す。特色あるカリキュラムとして、2年生からマネジメント・アウトドア・アドバンスの3コースに分かれ、生徒の興味関心や希望する進路に応じた教育を行う。

ESS国際交流部の活躍が牽引

 東京都立五日市高等学校は、都心から西に電車で1時間ほどの秋川渓谷近くにある。英語科主任教諭の中村俊佑先生が同校に赴任したのは2018年春のことだ。

 「最初に生徒にアンケートしたところ、9割が『英語は嫌い』『自信がない』との回答でした。実用英語技能検定(英検)の4級や5級に不合格の生徒も少なくない。でも注意深く見ていると、英語の勉強に興味はあるが自分一人では打ち込めない生徒がいることに気づきました。このような生徒に声をかけ、毎週土曜日に英語講習会を始めました」(中村先生)

 当初は1年生1人、3年生2人だけだったが次第に輪が広がり約10人の同好会に。2年目には正式な部活動に昇格し、名称を「ESS国際交流部」とした。「最近は、地元の特色やSDGs(持続可能な開発目標)に関連した課題を英語で発信するなどしています。校外のさまざまな英語コンテストにも参加し、少しずつ結果が出始めています」(中村先生)

 2019年に東京都国際教育研究協議会の第4回高校生国際理解・国際協力研究発表会で奨励賞、2020年に第24回ボランティア・スピリット・アワード 全国高校生部門 地域ブロック賞、そして2022年2月には、麗澤大学主催・産経新聞社協力の高校生プレゼンテーションコンテストで最優秀賞を受賞した。都教育委員会から2020年に「海外学校間交流推進校」の指定を受けるなど、ESS国際交流部の活躍を一つのきっかけに五日市高等学校の英語教育は軌道に乗り始めた。

「声に出して伝える」力が課題

 現在、同校は「成果発表」に力を入れており、年度末になると1年生は英語スピーチと英語劇、2年生は英語プレゼンテーション、3年生はより高度なテーマの英語プレゼンテーションに臨む。そんな中、2021年3月の1年生の英語スピーチで“小さな事件”が起きた。

 登壇した生徒は、タイ人の母親の死に直面して、自分は母の故郷のタイで生きるべきか、それとも父が住み慣れた日本にとどまるべきなのか大いに悩んだと打ち明ける。そして今は日本で学び続けると決心し、将来は自らのルーツのタイとの架け橋になりたいと語った。

 人生の選択に揺れる心情を素直に吐露したスピーチは、英文の選択やストーリーの構成は満点だった。しかし、ある校外審査員の指摘は中村先生も同感で、さらに五日市高等学校の日頃の英語学習で足りない部分とも重なっていた。「声が小さいので聞き取りづらかった。せっかくの素晴らしい内容のスピーチも、相手に届かないのはもったいない」――。

 英語教育では「聞く・話す・読む・書く」の4技能の上達を目指す。英語の習得は、英単語の暗記やリーディングなどのインプット(知識を頭に入れること)と、ライティングやスピーキングといったアウトプット(学んだ知識を出すこと)のバランスが重要だ。「当校には英語に自信がなく、特に声に出して読むことが苦手な生徒が少なくありません。スピーキングの練習には、聞こえてくる英文のすぐ後を影のように追いかけて発声するシャドーイングが有効ですが、授業では無言かボソボソつぶやくのが精一杯でした」(中村先生)

小テストなどの作成機能も充実

■高等学校の英語学習をサポートするCaLabo®MX
■高等学校の英語学習をサポートするCaLabo®MX

 そこで五日市高等学校が注目したのが、英語4技能学習に特化したクラウド型支援システムのCaLabo®MXだ。ノートパソコンやスマートフォンなど持ち運び可能な端末を利用するMALL型なので、環境を問わずシームレスにサポートする。

 CaLabo®MXには「聞く・話す・読む・書く」を学習するために最適なさまざまなアクティビティが搭載されている。五日市高等学校では1年生の英語スピーチの件で発信力に磨きをかける必要性を再認識した後、中村先生を中心に導入検討をスタート。職員会議などで約半年かけて議論を重ね、2022年7月に1~2年生の一部応用クラスにプレ導入、2023年4月からの本格的な導入に向けた検討スケジュールを決定した。

 中村先生が特に期待を寄せるのがレコーディング機能だ。「オリジナルの英文をその場で音声ファイル化してくれるので、生徒は自分で考えた英語音声をシャドーイングして録音し、教員に提出できます。自動採点機能もあるので、生徒のやる気を自然に引き出してくれるでしょう」(中村先生)

 1~2年生のプレ導入クラスでは、早速CaLabo®MXを活用した授業が始まった。中村先生は「教材作成機能が充実しているので、例えば英文の小テストでは、穴埋め、単一選択、並べ替えなどいろいろな形式の問題が手軽に作れるので便利です。自動採点機能を使えば、私たち教員は空いた時間で生徒とのコミュニケーションを深めることができます」と手ごたえを語る。五日市高等学校の英語教育は、CaLabo®MXとの連携で新たなステージへと踏み出した。

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