Case Studies

さまざまな「教育効果」を高める「フラッシュ型教材」

DSC_0062.jpg

 名護市内でも児童数が多く、大規模校に数えられる名護市立名護小学校。名護小学校には、『小学校のフラッシュ基礎・基本』『小学校のフラッシュ英単語/英語表現』『小学校のフラッシュ食育』『小学校のフラッシュ算数』が導入されている。3年2組では、算数を中心に、授業の冒頭に「フラッシュ型教材」を活用して、子どもたちの集中力を高めながら、基礎・基本知識の定着を図っている。その3年2組を訪ね、担任の國場裕之先生と子どもたちの様子を取材した。

DSC_0097.jpg
DSC_0092.jpg
DSC_0096.jpg
DSC_0087.jpg
DSC_0069.jpg

集中力が高まり、持続する

 校庭を囲むようにL字型に建つ校舎。1年生や3年生が学ぶ1階の教室は、校庭に面した壁に添うようにクラスごとに下駄箱が置かれ、子どもたちが出入りしている。風通しがよく、太陽の光が入り込む、明るく開放的な教室のつくりは、いかにも南国らしい。3年2組の教室を訪れると、子どもたちが人懐っこい笑顔で「こんにちは!」と元気よく迎えてくれた。
 チャイムが鳴る前から全員が着席し、授業が始まるのをうれしそうに待ち構えている。そして、チャイムの音とともに号令がかかり、「これから算数の授業をはじめます」の声で、授業が始まった。
 「今日は□を使った式の勉強です。では、かけ算から」。國場先生の声で、子どもたちも姿勢を正した。そして、全員の気持ちをひとつにするため、「せーの」の声でお決まりのリズムに合わせて、パンパンと拍手。教室に一瞬の静寂が訪れた。全員が食い入るように電子黒板に見入る。画面に現れた文字を全員で声を合わせて読む。「□に入る数を答えましょう。3・2・1…」。

DSC_0065.jpg

 かけ算の7の段だった。7×□=7と、問題が表示されると、子どもたちは声を揃えて□にあてはまる数を答えていく。子どもたちが答え、正解が表示されるまでの間隔は2秒間に設定されていた。次々と問題が表示され、子どもたちも元気に答えていき、7の段は終了。「簡単だった!」「全部できた!」と子どもたちが得意そうな表情を浮かべる。すると、國場先生は「かけ算は2年生の勉強だから、みんなもできるね。では、次はわり算。みんな、用意して!」と次へ進めた。
 今度は小数の問題。「1を7個、0.1を7個合わせた数は?」。1×7と0.1×7を足した数を答える問題だが、自信を持って答えられる子もいれば、考え込んで小さな声で答える子もいる。問題のレベルが上がるほど、そうした差が顕著に現れていた。授業開始から5分程度の短い時間にもかかわらず、40~50問もの問題に答えられるのは、テンポよく学べるフラッシュ型教材ならではだろう。
 こうしてフラッシュ型教材で授業を受ける姿勢ができた子どもたちは、授業が本題に入り、教科書やドリルの問題を解く時間に移っても、集中力を持続させていた。

フラッシュ型教材で養われる「ひらめき」

 今回の授業で使用しているのは『小学校のフラッシュ基礎・基本』だ。國場先生はいつもフラッシュ型教材を授業の始めに使用している。通常であれば、子どもたちがざわつきがちな時間だが、フラッシュ型教材を使い始めてから、授業の始まる5分前から子どもたちが着席するようになったそうだ。
 「ICT機器を使った学習への関心の高さを感じます。導入当初は物珍しさもあり、画面に問題が表示されるだけで、『すごい!』と興奮する様子が見られましたが、今では使い慣れたこともあり、しっかり問題に集中して答える、学びの姿勢を作ることができています。手作りのフラッシュカード学習もいいけれど、子どもたちの興味関心は高まっていいですね」
 画面に視線が集まり、子どもたちが同じ姿勢で授業に向かうことができる。高まった集中力が、その後の授業時間にも持続する。フラッシュ型教材によって、授業にいい空気がもたらされた。
 國場先生がフラッシュ型教材の良さを感じるのは、それだけではない。子どもたちの「ひらめき」が養われるのだという。どの教科でも、既習の内容をフラッシュ型教材で復習するようにしているが、流れるように表示される問題に瞬時に答えるうちに、子どもたちのなかに「気づき」がある。取材時にも、わり算の問題に取り組んでいる最中、ある男子児童が「わり算って、穴あきかけ算と同じだね」とつぶやいた。表示されたのは「28÷4=□」だったが、その前に「7×□=28」をやったので、瞬間的にかけ算とわり算の相関関係が理解できたようだった。
 「特に、算数でひらめきを養えると思います。珠算を習っている児童は、計算するとき、頭の中にそろばんが浮かんで瞬時に計算しているようですが、フラッシュ型教材も同様に頭の中にカードが浮かんで、パパッと答えられます。そうして瞬時に答えていける児童が増えていけば、授業にも深みを出せると思います」

できていない児童に気づいてあげる姿勢を持つ

 フラッシュ型教材を導入して約1年。子どもたちは”ゲーム感覚”でフラッシュ型教材になじみ、楽しんで学習している。國場先生はその感覚を否定はしない。子どもたちが、苦に感じずに学習することができているからだ。
 3年2組では、最初は全員で答え、次第に、列ごとや班ごとに人数を絞って交代で答えていく。一人ずつやりたいという声もあるが、一人だと答えられなかったときに、そこで流れが止まり、学習効果が薄れてしまうこともあり、4人程度の少人数に絞っている。
 「4人のうち、2人がわかっていれば流れを止めずに続けられます。そうして最後まで止まらずに進められたとき、子どもたちには少ない人数でがんばれたと自信がわき、やる気が高まるのです」
 さらに、少人数で答えることによって、理解ができていない児童を國場先生が把握しやすいという良さもある。
 「一斉授業では、できない児童が埋もれがちですが、フラッシュ型教材は一人ひとりの児童のつまずきが見えやすいという良さがあります。幸いにして、問題と正解の表示を設定して自動で流すことができるので、常にパソコンの画面を見る必要がなく、指導者は教室全体を見わたすことができます。フラッシュ型教材を使う際、指導者には、できていない児童を見つけ、気づいてあげる姿勢を持つことが求められるのです」
 フラッシュ型教材によってもたらされる、さまざまな教育効果。國場先生はその効果の高さを感じながら、今日も子どもたちと向き合い、いい空気の中で授業を行っている。

ページ トップ