Case Studies

自主的な学びを支援するツール コロナ禍で活用の場が広がる

2021/11/12

高大

―愛知県―
名古屋女子大学

2017年度に学修ポートフォリオを電子化することを目的として導入されたGLEXA。当初の苦労とともに、コロナ禍で活用の幅がますます広がっている様子を伺った。

自主的な学びを支援するツールコロナ禍で活用の場が広がる
GLEXAの活動フォーム機能の画面。学修eポートフォリオやクイズ、教員と学生との双方向のコミュニケーションなど多様な目的で使える
名古屋女子大学

名古屋女子大学
〒467-8610 愛知県名古屋市瑞穂区汐路町3-40

1915年(大正4年)、前身となる名古屋女学校設立。「親切」を校訓に掲げ、女性が高い教養と職能を身に付け、経済的に自立することを目指し、豊かな人間性と高度な専門性を持つ人材の育成に努める。

受講意欲を高める取り組み電子化で紙媒体の課題を克服

 名古屋女子大学では、「学生に自律的、能動的に学修する習慣を身に付けさせる」ことを目標に、学修履歴の記録と自己管理の仕組みを整備する手段として、2016年度から学修ポートフォリオの運用を開始した。家政学部の生活環境学科と家政経済学科の2学科で導入し、2016年度当初は、Webシステムではなく、毎回の授業ごとに記入するページと、授業の終了時に全体の学習を振り返って総括するページとで構成される紙媒体(小冊子)で行った。

 学生からは「授業の振り返りができ理解が深まった」「授業内容への興味・関心、受講意欲が高まった」など、学修ポートフォリオの導入に好意的な意見が寄せられた。

 一方で、紙媒体では持ち運びが不便である点や、受講者の多い授業では回収に手間がかかることなどが課題として残った。

 そこで2年目となる2017年度からは、電子媒体のポートフォリオ(学修eポートフォリオ)で実施することになり、そのためのシステムとして導入されたのがGLEXAだ。

 「本学では、2013年度に文学部と短期大学部で、授業支援プラットフォームのCaLabo® Bridgeを使い始めました。これは教職課程の学生向けに教職履修カルテを作成するためのツールとして活用しています。学修eポートフォリオもこれと同じシステムに組み込めば、コストを抑制できると考え、CaLabo® Bridgeに増設するかたちでGLEXAを導入しました」――。こう話すのは白井靖敏教授だ。実際の使い方としては、GLEXAの機能の一つである『活動フォーム機能』の中で学修eポートフォリオを作成している。

先進的な取り組みゆえの問題改良を重ねて操作性は向上

 学修eポートフォリオに移行するタイミングで新たに家政学部の食物栄養学科も加わり、3学科で運用をスタート。その後、徐々に他学部にも活用が広まり、2020年度からは短期大学部も含めた全学部でGLEXAを使った学修eポートフォリオの導入が正式に決まった。

 とはいえ、ここまでの道のりは必ずしも順調とはいえなかった。白井先生とともに学修eポートフォリオの推進に尽力した生活環境学科長の三宅元子教授は「トラブル続きでした」と振り返る。

 「当初はパソコンやスマートフォンでの対応が上手くいかず、繋がりにくかったり、繋がってもすぐにフリーズしたりしていました。機能でも使いにくい部分が数多くありました」(三宅先生)。学生にも不評で紙媒体に戻してほしいという意見さえあったという。

 「当時、eラーニングのシステム上に学修eポートフォリオを構築する事例は多くはなかった」と学術情報センターの尾崎友子氏が話すように、同大学の取り組みはきわめて先進的だったのだ。そして白井先生はこう続ける。「そもそもGLEXAの活動フォーム機能は、学修eポートフォリオに特化したシステムではありません。多少使いにくかったとしても、それは仕方がないこと。それでも少しずつ改良を重ねることで、操作性は格段に向上していきました。いまでは『紙媒体のほうがいい』という意見は聞かれません」。より良い使い勝手を追求するために、三宅先生や尾崎氏をはじめ、多くの教職員が意見を交わし、問題点を抽出した。それをチエルにフィードバックすることで改良は進められた。

令和2年度 「オンライン授業の進め方」研修の一例
●学修ポートフォリオに関するアンケート調査
「授業の振り返りができた」については、全学科の約半数が肯定的な印象を持った(2020年度 学修ポートフォリオに関するアンケート調査より)

特化していないからこそ実現した多様な使い方

 学修ポートフォリオは、大学教育における質的転換に向けた取り組みに位置付けられているものの、実際のところ作成しても活用する機会は少ない。就職活動でも重視する企業はまだ限られる。それでも白井先生は「学生にとって自分の学修を振り返り、把握することは将来必ず役に立つ」と強調する。教員が毎回チェックし、丁寧に返事をすることで勉強への意欲も増すはずだ。

 健康科学部の教員の中には、学生との双方向のコミュニケーションツールとして学修eポートフォリオを使い始めたケースもある。コロナ禍で学生の理解度を把握しにくいからこそ生まれた新たな使い方といえる。課題提出や試験、クイズ、アンケートなど、学修eポートフォリオ以外でGLEXAを活用する教員が増えたこともコロナ禍がもたらした変化だ。

 「結果的にGLEXAを導入して正解でした。なぜなら、多様な目的で使えるから。もしあの時、学修eポートフォリオに特化したシステムを導入していたら、これほど多様な使い方はできなかった」と白井先生は打ち明ける。

 同大学には実験・実習や演習を行う学部が多いため、コロナ禍でも感染対策を徹底した上で、可能な限り対面授業を実践している。その一方で7割以上の学生が学修eポートフォリオに日々の学習の記録を記入して学習成果を蓄積し、教員とのコミュニケーションを図っている。自主的な学びをサポートするツールとしてGLEXAの活用の場はさらに広がりそうだ。

*GLEXA(グレクサ)は株式会社VERSION2の登録商標です

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