Case Studies

ICT活用から生徒の主体的な学びへ

―東京都―
青山学院高等部

1人1台端末の整備を進める青山学院高等部。2021年度からのICT本格活用を目前に、Google Workspace for EducationとChromebookの導入に至った経緯や理念、授業での利活用について話を伺った。

ICT活用から生徒の主体的な学びへ
左:画面共有機能を使ったクイズ大会  右:Google Jamboardで空間座標の図を表示し、生徒の思考過程を可視化
青山学院高等部校

青山学院高等部

〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25

1950年創設。キリスト教の精神に基づいて、真実を求める心を培い、人を愛し人に奉仕する人間の育成を主な教育方針とする。さらに多彩な教育プログラムを通じて、確かな学力—洞察力、判断力、コミュニケーション能力、そして人生の進路を切り拓く力の育成を目指している。

3つの理念を柱に導入を進める

 青山学院高等部は、2020年度の2学期からGoogle Workspace for Education(旧G Suite for Education)の本格活用に向けて動き出した。1年生全員に1人1台の学校利用端末の準備を依頼し、約8割がChromebookを購入。年度途中だったため、既に保有している一定の条件を満たす端末を使用することも認めた。そして、いくつかの授業について、学校利用端末の試用を開始した。2021年度からは新入生全員にChromebookを購入してもらい、本格的な活用をスタートさせる。

 青山学院高等部では、学校利用端末の導入に当たり、以下の3つのミッションを掲げている。①自らの学びを深めるための主体的な活用、②学校生活をよりよくするためのコミュニケーションツールとしての適切な使用、③端末の活用を通して、情報社会における責任と役割について学び続ける。

 さらに、学校利用端末の使用法についての行動指針を次の4つに絞り、生徒を指導している。①学習目的のための利用に限る、②学校で利用する日には家で充電した状態で持参し、他の人の端末やアカウントは使わない、③学校と家庭のネットワークのみに接続し適切に使用する、④情報の発信や共有は細心の注意と最大限の配慮をする。

 「ICT活用に伴う危険から子供たちを遠ざけることも大事ですが、重要視しているのは、情報活用能力を身につけるというポジティブなところです。最終的には情報技術の利用における適切で責任ある行動規範を学ぶことがゴールです」と同校数学科の佐藤健悟先生は語る。

Googleという選択

 2017年頃から教育用のGoogleサービスに興味を持ちはじめた佐藤先生は、翌年同校のICT委員会の責任者となり、委員会で検証を重ねてきた。iPadやWindows端末の長所短所を比較して精査した後、Chromebookと、Google Workspace for Educationを選択した。

 「今後、本校が生徒の探究的な学び、協働的な学習、個に応じた学習を考えていく際に、Googleの共有の仕組み、分かりやすさ、ドキュメントの共同編集などが、50分の授業で生徒が効率良く学ぶためのツールとして最適だと思ったのです」と佐藤先生。

 さらに、クラス単位で生徒や学習内容を管理するためのツールであるGoogle Classroomの利便性についても語った。

 「Google Classroomは、資料を生徒に配信したり、生徒と教員のやり取り、生徒同士の意見交換、生徒の課題提出、成果物の確認、学習結果の集計、把握、共有などができます。教員、生徒にとって分かりやすいユーザーインターフェースだと思います」

 Google Workspaceをさらに使いやすくするクラウド型授業支援システム、InterCLASS® Cloudも利用している。その導入理由について、次のように語った。「Google Classroomのユーザー登録、クラス情報などの連携がスムーズでした。また、Googleにはない画面共有機能はとても重宝しています。生徒に一定の緊張感が生まれるし、生徒全員の画面を同時に見ることができるのは大きいです」

InterCLASS® Cloudの画面共有を活用

 2020年度後半の試用期間中は、生徒もICT環境に慣れる必要があるため、InterCLASS® Cloudの画面共有をメインに使用した。

 “クイズ大会”は、InterCLASS® Cloudの画面共有機能を活用した一例だ。GoogleスライドでABCD4枚の色分けされたカードを作成。教員が四択の問題を出し、生徒は答えのカードをモニターに表示。画面共有すると、〇さんはA、△さんはBと、全員のカードがずらりとモニターに表示される(トップ画像左)。「Googleフォームの場合は一度、集計画面を出す必要がありますが、InterCLASS® Cloudの画面共有を使うと誰がどう答えたのかがモニターでパッと分かるので、生徒たちはすごく盛り上がりました」

 画面共有は、ポジティブな使い方から入ることが大事と佐藤先生は語る。「画面共有で先生に監視されていると思ったら、生徒は嫌がるでしょう。このクイズ大会のように、みんなで自分の考えを共有できるツールということを前面に出していきたいです。そうすれば、生徒も便利だと感じてくれると思います」

 今後は、Google Workspaceのさまざまな機能を授業で使用していく予定だ。その一つとして、佐藤先生はGoogle Jamboardの活用を考えているという。「例えば、空間座標の図をモニターに映し、私が指示した課題の解答を生徒に書き込んでもらうと、試行錯誤して問題を解決する様子が見えます。つまり生徒の思考過程が見て取れるのです。Google Jamboardと、InterCLASS® Cloudの画面共有の組み合わせで、生徒のノートを実際に見るのと同様のことができるので、どんどん使っていきたいです」(トップ画像右)

 佐藤先生は、InterCLASS® Cloudの新しいチャット機能にも注目している。これは生徒から先生、生徒から全員にメッセージを送信できるが、生徒から生徒だけには送れないのが特徴だ。また、全てのチャットを教員が把握できるようになっている。

 「生徒同士でチャットができてしまうと雑談が止まらなくなるので、このようなチャットがあるといいなと思っていました。授業中に先生に助けを求めるチャット、全員に意見を伝えるチャットはとてもいいですね」

生徒の主体的な学びに向けて

 2022年には、全生徒が1台ずつの学校利用端末を持つようになる。ICT活用の将来的なビジョンについて、佐藤先生は次のように話した。

 「今は教員が授業の質を上げていこうという形で、教員発信のICT活用が中心です。しかし今後は、生徒が柔軟な頭で新たな使い方を考え、主体的にICT活用を進めていくことを期待しています。その一つの鍵となるのが探究学習です。生徒自らが問いを立てて、いろんな人と協働して問題解決し、それを表現し、意見交換するような活動にシフトしていきたいと思います。そのために、Google Workspace for Educationは最適のツールだと思います」

 生徒の主体的な学びに向けて、青山学院高等部のICT活用は2021年度から本格始動する。

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