Case Studies

「CaLabo EX」を活用して半年。多様な指導で、英語力も大きくアップ!

2009/02/19

高大

 和洋九段女子中学校・高等学校は、2008年8月、フルデジタルCALLシステム「CaLabo EX」を2教室に導入した。教育方針のひとつとして「国際化教育の推進」を掲げる同校は、英語教育に大変力を注いでおり、最新のCALL教室の設置もその一環だ。
 今回は、同校の英語科・吉田和仁先生を訪ね、「CaLabo EX」を活用した中学3年生の授業を拝見した。

徹底した「リーディング」で生徒の可能性を伸ばす

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▲「ムービーテレコ」で”録音 → 再生して音声チェック”を繰り返す生徒の姿は真剣そのもの。

 中高一貫教育を行っている同校では、CALL教室を中学・高校で共用しており、現在は英語と情報の授業で活用しているという。
 取材当日は、中学3年生の英語の授業が行われていた。英語の教育課程は中3で週7時間(選択授業1、ネイティブの外国人教諭による英会話1を含む)と充実している。中学の教科書はすでに終えており、夏休み明けから使用しているテキストは高校のものだ。

 当日の授業はリーディングが中心。「できるだけ生徒に声を出してもらいたい」と吉田先生がおっしゃる通り、冒頭からリーディングのアクティビティが続いた。
 まずは、前回学習したパートのおさらいとして、英文をブロックごとに読んでいく。教卓PCから生徒PCへ音声ファイルを送信すると、ヘッドセットを付けた生徒たちがそれぞれ発声をし始めた。
 続いて、今日から学習する新パートの単語の発音レッスン。音声ファイルに続いて繰り返す形で、個別練習を重ねていく。
 「リッスン&リピートに進みます」
 吉田先生の掛け声で、次のアクティビティへ。今度は、新パートの英文の音声ファイルを一文聴いては読んでいく。そして、さらにステップアップして、一段落を続けて読む。仕上げに登場したのは、動画学習ツール「ムービーテレコ」。生徒達は、各自でリーディングした英文を録音・再生して、発音をチェックしていった。

 とにかく立て続けに読む、読む、読む。吉田先生によると、CALL教室を使い始めてから生徒たちに変化が起こってきたという。
 「普通教室の授業では全く声を出さない生徒もいたのですが、CALL教室ではよく声を出すようになりました」
 各自ヘッドセットを付けた個別学習であり、「ムービーテレコ」に録音した音声の波形も出るため、一人ひとりが声を出しやすい雰囲気があるのだろう。

 さらに、リーディングを続けたことで思わぬ効果も生まれた。
 「文法が苦手だった生徒がどんどん声を出して読んでいったら、自然に覚えて点数も上がってきました。その生徒曰く、『譜面が読めないけれどカラオケは上手い』ですって(笑)。英語をそんな風に使えるようになったんですね」

LLからCALLに変わったことで「授業の準備」が快適に

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▲中間モニターに書画カメラで教科書を映し出し、英文のポイントを解説。

 当日の徹底したリーディングの授業で、もうひとつ印象に残ったことがある。それは、生徒2人につき1台が配置されている中間モニターの活用だ。
 吉田先生は、アクティビティの随所で、書画カメラで映したテキストの映像を中間モニターに流していた。そして、文法を解説しながらポイントにアンダーラインを引いていく。中間モニターには、吉田先生の手元がはっきりと映っていた。
 「教科書を進めなければならないのですが、教科書にはソフトが付いていない。だから、本を書画カメラで投影しています。これは、どちらかというとLL的な進め方ですね」

 同校では、CALL教室を設置する前は、LL教室を利用していた。CALL活用のスタートからまだ半年、「生徒たちのほうが操作に慣れるのが早かった」と笑う吉田先生だが、CALL教室に変わって快適になった点があるという。
 「授業の準備が楽ですね。例えば、CDからデータを取り込むときも、LLの時は1時間付きっきりで作らなければなりませんでした。各学年ごとに各担当教員がデータ入りのMOを持っていて、それが無いと授業ができない。もし無くなったら大騒ぎです。CALLではデータをパッと入れられるし、データを共有してPCで使えるので非常に助かっています」

授業のアクセントに、英語の動画で「ディクテーション」も実践。

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▲演説(英語)の動画を活用してディクテーションにも挑戦!

 リーディングのアクティビティに続いて、吉田先生は英語のスピーチが書かれたプリントを配布した。文章はところどころ穴埋め問題になっており、生徒たちはインターネットの動画サイトで原典となる動画を見ながらディクテーションをしていく。
 その後、再びリーディングに戻った。CALLの設備を活用した様々なアクティビティが組み合わされているおかげで、50分の授業時間があっという間に感じられた。これは、生徒の集中力をキープするための吉田先生の工夫だ。
 「リーディングの合い間に動画を見せて生徒たちの気分を変えました。ヘッドフォンをずっとしていると疲れてしまいますから。普段は小テストや復習テストなども取り入れています」

 吉田先生曰く「英語が好きな生徒が多い」という同校では、1996年、オーストラリア・シドニーの「ST.SCHOLASTICA’S COLLEGE」と姉妹校として提携して以来、深い交流を続けている。「ST.SCHOLASTICA’S COLLEGE」から毎年20〜30名の生徒を迎え入れ、交換留学・ホームステイ語学研修として同校の高校1、2年生の希望者を多数送り出しているという。
 また、校内の英語大会も毎年開催しており、中学はレシテーション(暗唱)コンテスト、高校はさらにスピーチコンテストも行われている。
 学校全体で英語教育に積極的に向き合っている同校ならば、今後もますますCALL教室が活用され、当然のごとく、英語力がどんどん磨かれていくことだろう。

【DATA】

和洋九段女子中学校・高等学校
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-12-12
http://www.wayokudan.ed.jp/

 「和洋九段女子中学校・高等学校」の前身は、「和洋裁縫学院」(明治30年設立)。創立110年を超える伝統校であり、当時は洋裁教育を学校教育に取り入れた最初の学校であった。歴史ある中高一貫の女子校という一面に加えて、現在は、「進学指導の強化」「国際化教育の推進」「情報教育の充実」「自主活動の展開」「生徒指導の充実」を教育の重点項目として実践している。

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