Case Studies

CALLシステムは、授業を楽しくかつ充実させるツール

 国際理解教育に重点を置き、英語教育にも力を入れている神奈川県立座間総合高等学校は、開校3年目の新しい学校だ。二つあるCALL教室に『CaLabo EX』を導入し、1年生の必修科目(英語)「LL基礎」の授業をはじめ、システムを活用して生徒の興味・関心や進路に沿うさまざまな選択科目を提供している。同校英語科の山家百合子先生と田中陽二先生にお話をうかがった。

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CALL教室での授業を楽しみに入学してくる生徒たち

 座間総合高等学校は、県央地区唯一の単位制の総合学科の高校として、3年前に近隣の二つの県立高校が合併されて開校した。カリキュラムがある程度決まっている普通科とは異なり、必修科目以外は各自が選択科目から好きなものを選んで授業を受け、単位を取得するのが総合学科の特長だ。また、同校には、両親のいずれかが外国籍で、日本語以外の言語を日常的に使っている生徒も少なくない。このような状況から、生徒間で英語力や英語学習環境の差が大きいのだという。
 「入学時から英語力に差はありますが、入学前に本校のCALL教室について見聞きして、パソコンを使って英語の学習をすることを楽しみにしている生徒が多いですね。英語のGrammarは苦手だという生徒も、LLの授業は積極的に参加しています」と山家先生。1年生の必修科目「LL基礎」の後期ではムービーテレコ対応(音声)教材「Essential Listening Volume 1」を使用するなど、基礎レベルのデジタル教材を授業の中に取り入れているという。

生徒が興味を持てる教材や題材で英語学習のストレスを軽減

 2年生からは、必修科目に加えて「OCⅠ」や学校設定科目の「Computer LL」など、多彩な選択科目がスタートする。なかでも、田中先生が担当する「Computer LL」では、ムービーテレコで洋画を使って授業を行っているという。「生徒たちは各自の画面で映画のワンシーンを見て、それぞれ自分のペースでシャドーウィングをします。そして最後に、自分の音声を録音して提出してもらっています。動画を見たり声を出したりという活動を取り入れると生徒も飽きませんし、身近な映画を使うことで会話ができるようになりたいという気持ちも引き出せると思います」と田中先生。
 また、山家先生はe-Learning管理ツールや「eNetLibe」を活用して授業を組み立てているという。「大学入試問題集の例文をALTに読んでもらい、音声を録音しています。生徒には問題集を予習してきてもらい、答え合わせと解説は、e-Learning機能に任せています。教員は、生徒の質問のや辞書指導など、個別に対応しています。正しい英文を正しい発音でインプットした後、2時限目には、それを自分で発音し、録音して提出させています。英文が覚えられないのは、『(声に出して)読めないから』だと思い、このような方法を始めたのですが、とても効果があります」と山家先生。さらに「eNetLibe」を使って自作問題を作成しているが、「生徒のレベルに合ったものにするだけでなく、例えば取り上げるテーマをより身近な地元ネタにするなど、自校ならではの教材を作ることができるからいいですね」と話してくださった。

生徒一人ひとりの学力に合ったデジタル教材を提供減

 「eNetLibe」で問題が自作できることを知ったばかりだという田中先生は、「恥ずかしながら今まで知りませんでした(笑)。すごく便利そうな機能なので、使い方を勉強してぜひ挑戦してみたいと思います。私の場合は、授業中にインターネット検索をよく使っています。わからない単語があったらその場で意味を検索させるんです。そうすると、辞書的な意味だけでなく、実際にどのように使うのかなども知ることができるんですよね。生徒はすぐに飽きてしまうので、集中力を持たせるにはスピードが大切だと思います。普段の授業の展開も、それを意識しています」と話してくださった。
 その例として、授業中に課題が早く終わった生徒には、チエルのセンター試験対策教材(『センター試験 英語 完全攻略』、『センター試験 英語 リスニング完全攻略』)や英検対策教材(『英検リスニング・スピーキング完全攻略』)などをやらせている。その際には、全員に同じものをやらせるのではなく、一人ひとりのレベルに合った教材を渡しているという。「基礎以上のデジタル教材は、授業中に全員でやるというのではなく、オプションの練習問題として活用しています」と山家先生。英検やTOEIC®テストの教材(『新TOEIC®テスト ハイパー模試』)などは習熟度別クラスのプレースメントテストとして使うこともあるという。

教員間でスキルや情報をシェアすれば授業はより楽しく充実したものに

 学外でも務める山家先生は、こう語る。「システムの使い方にしても自作教材にしても、最初に形を作るのが大変なんですよね。本校では[LL基礎]、[OCⅠ]、[Computer LL]、[上級英語]の4課目に、英語科の教員がティームティーチングなどで教え合いながらスキルをシェアしていますが、学内外を問わず、自分が得たものは他の先生方とどんどんシェアしていきたいと思っています。学校の教員というのは異動がありますから、スキルのある人間が次の先生にバトンを渡し、次の赴任校でもまたその輪を広げていくことが大切なのではないかと考えています」。
 さらに田中先生は、「システムがあることで、授業が楽しくできるようになりましたね。そしてなによりも、生徒への指導に専念できる環境になったと思います。教室内を回りながら生徒の出来具合をチェックしたり声をかけたりと、一人ひとりと向き合える余裕ができるので、授業もより充実したものになっていると思います」と話してくださった。
 今年度、再編統合後、初めて総合学科生を卒業生させる座間総合高等学校。進学実績だけが答えではないが、生徒たちの将来の活躍に期待したい。

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