Case Studies

システムと教材の連携で、効果的な英語の授業を実践!

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 『旺文社・英検CAT』を昨年度に導入した函館工業高等専門学校では、今年度に入ってから英検受験者が急激に増え、英語嫌いが減少しているという。e-Learningという個人学習のスタイルを一斉授業の中にどのように取り込み、生徒の学ぶ意欲を高めているのだろうか。e-Learningシステム『Glexa』も併せて活用して教材も作成している英語科の臼田悦之准教授の授業を訪ねた。

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授業の基本は、英語を”話す”活動

 まず案内されたのは、電気電子工学科1年生の普通教室だった。2時間連続の『英語コミュニケーションI」の授業が始まる。教科書のレビュープリントが配られると、42人の生徒たちは2人1組でペアクエスチョンの活動を始めた。プリントにはUnit1から7までで学んだ内容を含む質問文が記されており、一人の生徒がいくつかを選んで相手に問いかける。そして、もう一人の生徒は、質問された内容を自分にあてはめて答える。そうして答えた内容を組み合わせれば、英語での自己紹介ができるようになる。
 練習時間が終わり、臼田准教授と指名された生徒とで同様にペアクエスチョンを披露。「もっと自信を持って英語を話してごらん」「とてもいい英語話者だね」と臼田先生は生徒に声をかける。授業中、指示は基本的に英語で出されているが、授業はテンポよく流れていく。生徒も楽しそうな表情を浮かべて授業を受けている。その後も何度かペアを組み替えて、ペアクエスチョンに取り組み、最後に、質問の書かれたプリントに、自分の回答を書き出して1時間目の授業は終了した。

『旺文社・英検CAT』の「語い」も徹底活用

 2時間目は場所をCALL教室に移しての授業。「私は何でしょうクイズ」を各自が作り、ペアを組んでクイズを出し合うアクティビティからスタート。まず15分間ほど、隣や向かいの生徒どうしでペアレッスンに取り組む。その後は、パソコンを起動して『CaLabo EX』にログインする。生徒たちはヘッドセットを装着し、臼田先生がランダムに組んだ4人グループで、同様にクイズを出し合う。席の離れた友達どうしでの会話となるため、生徒たちも出題者から発せられる英語に注意深く聞き入り、答え合っていた。
 30分間ほどが経過したのち、『旺文社・英検CAT』での個人学習へ移行した。現在、1年生は「英検レベル診断」の準2級レベルに挑戦中だ。生徒たちは真剣な表情で語い・リスニング問題を解き進めていく。生徒たちの集中力が高まるにつれ、教室の空気は引き締まったように感じられた。
 現在与えられている課題は、1月までに準2級を100%にすること。自宅でも学習を進めなければ達成できそうにない。学習の到達度は「学習の記録」で確認できるが、学習到達度を示すビーカーを少しでも満タンに近づけなければと、焦り始めている生徒も少なくないようだ。生徒たちは入学してからずっと、『旺文社・英検CAT』に取り組んできた。最初の課題は、5月の連休明けまでに4級レベルの語い問題を100%にすることだった。これは99%の生徒が達成できた。その後は3級レベルに挑戦し、夏休みの課題として3級を100%にし、英検模試の3級を2回分解くことになった。こちらも99%が達成でき、2学期の初めに再確認クイズを行い、理解度を確認した。そして、2学期後半から準2級に挑戦してきたのだ。
 「今回の課題をクリアすれば、かなりの達成感を得られるはずです。入学当初は英語嫌いが半数以上いましたが、最近では英語に自信がついたという生徒も現れ、英語嫌いが減っているようです」と臼田先生は話す。
 授業は単に個人学習を進めるだけの場ではない。授業の冒頭では毎回、臼田先生が作成した『旺文社・英検CAT』の語いリストから15~20問出題する単語テストを実施している。このテストは記述式で、語いの定着度を測るものだ。
 「単語を覚えることが苦手な生徒も多いのですが、語いリストと単語テストによって、生徒たちも一生懸命覚えています。さらに、単語テストの後に英検CATで学ぶので、どの程度語い力がついているかを問題ベースで把握できます」
 『旺文社・英検CAT』での学習を通じて、英語への苦手意識のある生徒たちが、英語に興味を持ち、意欲的に学ぶようになってきた。e-Learningという学習スタイルが同校の生徒たちには向いていたのだろう。
 臼田先生は「英語が苦手でもコンテンツや学習スタイルによって、興味を高めていけるのです。英語は言葉ですから、人と話すために使うものだという意識を持ち、英語力をつけるためのサポートにパソコンを使い、英語を好きにさせたい」と考えている。

英検「受験者」も「合格者」も急激に増加した!

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 同校では、英検の受験者数が今年度、急激に増えた。希望者のみの受験だが、前年度の第2回検定ではわずか10数人だった受験者が、今年度第2回検定では約80人となった。英検受験に際して、生徒たちは『旺文社・英検CAT』を使って一次試験、二次試験に向けて学習している。さらに、二次試験の面接委員を務める臼田先生は、二次試験での応答のポイントを受験者に伝え、きめ細やかな指導も欠かさない。その結果、2年生で2人が2級に合格し、1年生の準2級合格者数も増えた。
 このような生徒たちが、授業をどれだけ理解し、満足しているのかを把握するため、臼田先生は授業内で『Glexa』を使ってアンケートを実施している。
 Glexaは専門的な知識がなくても、簡単にアンケートや教材を作れるため、臼田准教授も「wordに入力するような感覚で作れるので使いやすい」と喜んでいる。この日も授業終盤に『旺文社・英検CAT』に関するアンケートを実施した。生徒が回答するとリアルタイムで集計される。
 使用した感想は「語いクイズは学習しやすいと思う」と回答した生徒が6割。「過去問のレベルが自分に合っていた」と回答した生徒も5割。「英語力を高めるのに役立った」「自分のペースで学習を進められた」「到達度がビーカーのイラストで表示されるので、達成感を味わえる」といった肯定的な回答が目立った。改善点について尋ねた問いでは「1問ごとに解説を読みたい」「ヒントが出ると、答えやすい」「単語を入力するような問題も作ってほしい」など、建設的な意見が多く見られた。

Glexaで教材作成だけでなく、成績管理も楽々

 臼田准教授が『Glexa』を活用する理由はほかにもある。それは、充実した管理機能と教材作成の手軽さだ。
 「まず、成績管理が楽にできるようになりました。名前、クラス、出席番号をつけたリストが作られ、項目別にソートをかければ、必要なデータを収集することができます。従来のように自分で入力作業をする必要がなく、短時間で作業できるので助かります。次に、バリエーション豊富な教材を時間をかけずに簡単に作成できること。ディクテーション、穴埋め問題、文整序、単語並べ替え……とユニットごとに問題を作ってGlexa上にアップロードしておくことができます。アップロードした教材は授業後の復習や定期テスト対策に活用することができます」
 学年が上がるにつれて、教材のバリエーションも増やし、動画を使った教材や電話のシミュレーションで会話練習する教材なども用意した。
 「英検CATもGlexaも、今年度で手応えをつかめ、来年度はさらに使える自信もつきました。普通教室での授業とCALL教室での授業、一方だけでは成り立ちません。特にe-Learning教材を活用した授業の効果の高さを感じています。これからも、生徒のためになると思った教材は取り入れ、生徒の声を参考にして授業を改善し、よりよい授業を作っていきたいと思います」
 臼田准教授は、英語好きな生徒をいかに作っていくかを主眼においた授業づくりに、今後も尽力していく。

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